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「それに姫様は、何日もの時間をかけて、某の為に衣装をてて下さいました。何も出来ないは、嘘にございます」
「…されど、私を妻などにしたら、蘭丸様は表向き、一生涯 り身となるのですよ !?」
「ええ、その事は上様からも何度も念を押して言われました。 ──全て覚悟の上です」
「りから妙な目で見られてしまいますよ !?」
「その時は、“ の傾向が強過ぎて、嫁の来てがないのだ ” とでも申しておきましょう」
「…蘭丸様」
「それとも、美しいたちを多く囲い、妻などいらないのだと主張しましょうか?」
それを聞いた胡蝶は、急にり顔になって
「!それは駄目っ!」Business Center for Correspondence Address | easyCorp
と、娘らしい甲高い声を響かせた。
すると蘭丸は、胡蝶の正面へ軽くにじり寄り
「何故にございます? 妻をめとらず、だけを囲っている武士も稀におりますよ」
と、どこか意地悪な顔つきで言った。
「で、でも…蘭丸様は、駄目です。お妾なんて…っ」
「されど、お父上である上様にも幾人ものご側室がおいでですが、姫様はその件で、一度も不満を漏らした事などないではありませぬか」
「父上様は良いのです! 私は、蘭丸様が私以外の……」
「 “ 私以外の ” 何です?」
「……」
「言って下さらねば分かりませぬ」
耳の先まで真っ赤になっている胡蝶に、蘭丸様はすっと顔を近付ける。
秀麗な蘭丸の面差しに、大人びた、余裕のある微笑が浮かんでいる。
柔らかそうな前髪をさらりと揺らしながら、蘭丸は更にひと分、胡蝶の前にを近付けると
「言って下さい」
からかうような、でも内に優しさが感じられるような、甘い声で囁いた。
胡蝶の小さな胸は早鐘を打ち、ときめきと恥ずかしさから、微かに瞳を潤ませた。
「…蘭丸様が、私以外のおなごに関心を持たれるのが、らなく嫌なのです…」
「それは何故ですか?」
「─!」
更に訊ねてくる蘭丸を、胡蝶は唖然とした表情で的に見つめると、次第にれ顔になり
「ら、蘭丸様は、意地悪にございます!」
くるりと背を向けた。
「左様なことを、まことにおなごの口から言わせるつもりにございますか!?」
胡蝶はのように赤く染まった顔を俯けながら、叱責するように叫んだ。
「あなた様をおいしている故、嫌だと申しているのです!何故 黙認して下さらないのですか!?」
「──」
「源氏物語に出て参るなどは、いつも自ら、愛しいお方に愛のの葉を囁かれまするのに!」
やや不満そうに胡蝶が叫ぶと、蘭丸は姫のな背中を見つめながら
「……左様にございますか。分かりました」
と、小さな声で言った。
どことなく気持ちが沈んでいるような響きだった。
…少し、言い過ぎてしまっただろうか?
物語の中に出て来る架空の貴公子と比べてしまったのは、さすがに子供じみていたかも知れない。
胡蝶は顔を上げ、チラと背後を振り返った。
すると、蘭丸の上半身が素早く胡蝶の背中の上に重なり
「──ならば、光君と同じように致しましょうか?」
そう耳元で囁きながら、蘭丸は後ろから胡蝶の身体をぎゅっと抱き締めた。
そして、こう語りかけた。
「 “ あやなくも てけるかな 夜を重ね さすがに慣れし 中のい胡蝶は、すぐにそれが源氏物語に出てくる一句であると察した。
作中で光源氏が、最愛のと初めて関係を持った翌朝に、彼女に残していった歌である。
解釈としては
“ 長らく寝起きを共にして参ったのに、一度も肉体的な関係を持たず、よく耐えて参ったものだ ”
という事であるが、歌に込められた裏の心は
“ このをどうあなたに伝えたら良いのでしょう。いつも一緒に過ごしてきたあなたと、ようやく結ばれることが出来て… ”