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しばし無言でお茶を啜った。
話し合いなんてどうでもいいな〜なんて思うくらい和んでいた。
「三津さん昨日はすまんかったな。驚かせるつもりはなかったんや。」
高杉の方が沈黙を破った。視線はずっと前に向けたままやけに静かな声で言った。
「こちらこそごめんなさい。止まってちゃんと話聞いたら良かったんですけど。」
その時は気持ちに余裕がなさ過ぎたと自嘲した。https://www.easycorp.com.hk/en/virtual-office
「そりゃ会って間もない男に嫁になれ子供産めって迫られたら怖いわな。
今日も会えんと思っちょったけぇ朝見つけた時には体が動いちょったそっちゃ。」
「まぁ……それでこそ高杉さんなんでしょうけど。
それと私は高杉さんの奥さんにはなりませんからね!」
「やろうな!でも三津さんは俺の嫁になるのが一番しっくりくるぞ?
桂さんの嫁には何か物足らんが俺にはちょうどいい。」
『高杉さんにちょうどいいって何なんや……。』
身長だろうかとちらりと横目でその横顔を見た。
高杉は周囲の殿方に比べればだいぶと小柄だけど,三津からすれば高過ぎず低過ぎずで確かにちょうどいい。
『それに何で似合わん!って言わんと物足りんって言わはったんやろ?気ぃ遣われてる?』
どっちにしろ不釣り合いと言われてる事に違いはない。
それは三津にとって永遠の悩みどころ。
『間違いなく小五郎さんにお似合いなんは幾松さんみたいに綺麗な人やし,サヤさんみたいにおしとやかで気が利いて頭も働く人で……。』
気にしないようにしているけど考えてしまえば心はズキンと痛む。
自分には美貌も色気も落ち着きも賢い頭もないし,要するに何にもない。
『今朝も小五郎さんに呆れられてもたしな……。』
「三津さん?」
「え?えっと……何でしたっけ?」
すみません聞いてませんでしたと情けない顔で笑った。
「うーん……今日は休んじょった方がええぞ?普段から打ち込まれたりして衝撃に慣れとる俺らとは違って三津さんは軟な女子やけぇ。
部屋戻って寝とき。俺は散歩にでも行くけぇ。」
高杉はちゃんと休めよと言って歯を見せて笑い,そのまま姿を消した。
『自分からお話しよって言ったのに申し訳ないな……。』
三津は湯呑みを片付けて仮自室に戻ることにした。
だけどその足はとある部屋の近くで戻る事を躊躇した。何をしてるんだろうなぁ自分はと苦笑してまっすぐ仮自室へ行こうと決意した時,通り過ぎるつもりだった部屋の戸が開いた。
「何で入って来ないんです?」
「別に入江さんに用事はないんで……。」
視線を彷徨わせながらしどろもどろに答えるのを見て入江の口角は釣り上がる。
「でも私は三津さんとお話がしたいんで。」
そう言って手招かれた三津は吸い込まれるように入江の部屋に入って行った。
それを吉田が陰から見ていた。
「晋作に何言われたんです?元気ない。」
「やんわりと小五郎さんとは不釣り合いって言われました。」
入江と膝を突き合わせてふてぶてしく答えた。
「それでまた自分と誰かを比べて卑下したんですか。
比べなくてもいいのに。」
すると三津の目が潤みだして,そこから涙が溢れるのを堪える表情を見せた。
「そりゃ幾松さんには幾松さんの良さがあるでしょうけど,それと同時に三津さんには三津さんにしかない良さがあるんですよ?
みんなその良さに惹き付けられて側に集まって来るんですから。」
「……入江さんはやっぱり先生ですね。その諭すような言い方がそんな感じ。
気にしないようにはしてるんですけど,やっぱり周りから見れば小五郎さんにお似合いなのって幾松さんみたいに綺麗な人かサヤさんみたいなお淑やかな人なんやろなぁって。」
「でもみんな三津さんが好きです。稔麿も玄瑞も私も。貴女の方が好きです。
たまには稔麿にも甘えて来なさいよ。一番近くで貴女を見てきたのも稔麿だろうし。」
入江は喉を鳴らした。そして穏やかな顔で煮え切らない様子の三津を見た。
「とりあえず部屋で休みます。高杉さんがおでこぶつけてるから休んでた方がいいって気遣ってくれたんで。
その後で時間があれば話に行こかな。」
「そうしなさい。それと痛むようなら玄瑞の所にも行きなさいね?」
「分かりました。じゃあこれで。」
立ち上がって戸を開けようと入江に背を向けた時,強い力で引かれて体は入江の腕の中。
驚いて顔を上げればもう口は塞がれていた。
唇を優しく触れさせながらも強引に舌が割り込んでくる。強引な癖に中で絡め取ろうとする動きは繊細で優しい。
誰かに気付かれたら……。と言う焦りさえ溶かされてくような口付けだった。